はじめに
細菌やウイルスは、広がる可能性があります。 あなたの家族の誰かが伝染性の病気にかかった場合、家族の他の人に病気が広がるのを防ぐために、追加の予防措置を取る必要があります。
細菌やウイルスがどのように広がる可能性があるのかを知ることが、伝染を防ぐための第一歩です。
細菌は、顕微鏡でしか見ることのできないとても小さな単細胞生物です。 細菌はその周りの環境から栄養を得ます。その環境とは、場合によってはみなさんや他の生きているものや動物なのです。
良い細菌もいれば、悪い細菌もいます。 良い細菌の例としては、消化器系を正常に保ち、有害な細菌の侵入を防ぐことで消化を助けるものがあります。
細菌の中には、薬やワクチンを作るのに使われるものすらあります。
有害な細菌は、虫歯、耳の感染症、連鎖球菌性咽頭炎、そして他の多くの感染症や病気の原因となります。
ウイルスは細菌よりもさらに小さな有機体です。 ウイルスは、生きている細胞の中にいるときにのみ、増殖し、生き続けます。 生きている細胞の外での寿命は一般的に短いですが、一部のウイルスは無生物や物質の上で数日間生き続けることができます。
もし生体がウイルスに感染されているなら、その体液にはウイルスが含まれています。 そして、それらの体液がドアの取っ手や水道の蛇口などの表面に残っている場合、そのウイルスはこれらの表面上で何時間も何日間も生き続けることができ、そして他の生体に伝染します。
細菌やウイルスが、栄養を得たり保護を受けたりするために表面や体内に生息している有機体のことを、宿主といいます。 人や動物—つまり、猫、犬、鳥、そして他のどのような生物でも、宿主になり得ます。
ウイルスが人や動物(宿主)の体内に侵入した場合、ウイルスは簡単に増殖し、広がり、その宿主を病気にする可能性があります。 ウイルスは風邪などの軽い病気を引き起こしますが、はしかのようなより深刻な病気の原因にもなります。
細菌やウイルス(ばい菌)は、さまざまな方法で広がる可能性があります。 伝染には、主に3つのタイプがあります:
直接的な接触
間接的な接触
空中浮遊
直接的な接触
直接的な接触とは、基本的には人と人との接触を意味します。 これには握手、ハイタッチ、グータッチ、キス、そして抱きしめることが含まれます。
もしある人がばい菌の宿主なら、その人の体液はばい菌を含んでいます。 その人がくしゃみや咳(せき)をすると、体液の飛沫(ひまつ)はその人の手に付着します。
もしその人が、その後握手などで他の人に直接触れた場合、その人は他の人にばい菌を伝染させることがあります。
間接的な接触
間接的な接触は、誰かがある物体にばい菌をまき散らし、別の人がその物体に触れ、その人にばい菌がうつったときに起こります。
ばい菌は、以下の表面にいる可能性があります:
ドアの取っ手
階段の手すり
カウンター
蛇口
電話
鍵
クレジットカード
タブレット
リモコン
キーボード
ペン
その他の、多くの人が触れる物や表面
ですから、宿主がくしゃみや咳(せき)をした後に、ドアの取っ手に触れれば、その表面にはばい菌が残ります。
別の人が同じドアの取っ手に触って、ばい菌を拾います。
その後、もしその人が手を十分に洗う前に、目や鼻、口、耳などを触ると、ばい菌が身体の中に入ってしまうことがあります。
間接的な接触の、別の一般的な形態は、人々が物を共有するときに生じます。 人の口に触れたものは、どのようなものであれ、体液の飛沫(ひまつ)が付いています。
ですから、間接的な接触は、人々がフォークやスプーン、はし、水のボトル、飲み物、食べ物などを共有することで起こり、ばい菌が人から人へと伝染してしまうのです。
空中浮遊
ばい菌は空気を通して人から人へと移動することもあります。
例えば、宿主が咳(せき)をしたり、くしゃみをしたりすると、ばい菌が空気中にまき散らされます。 咳(せき)やくしゃみから出るとても小さな飛沫(ひまつ)は、移動することができ、表面や他の人に付着した際にばい菌を広めます。
人々の皮膚や髪の毛は、絶えずはがれたり生え替わったりします。 これらにもまた、ばい菌が含まれている可能性があり、それが空気を通して移動し、他の人に感染することがあります。
知っておくべき重要なことは、気付かないうちに宿主になっている可能性があるということです。 例えば、ウイルスが体内に入っているかもしれない人に、病気の兆候がない場合があります。 実際にその人が病気になることはないかもしれません。 しかし、その人と接触している他の誰かが、ウイルスを拾って病気になる可能性はまだあるのです。
細菌やウイルスはどのように広がるのか
ばい菌
ばい菌とは、感染や病気を引き起こすことができる細菌やウイルスのことです。
宿主
ばい菌は、人や動物(宿主)の細胞の中に住んでいます。
出る
ばい菌は宿主の目、鼻、口、耳、傷口、尿路などを通って出ていきます。
伝染
ばい菌は、直接的または間接的な接触や空気を通して伝染します。
伝染
ばい菌は、直接的または間接的な接触や空気を通して伝染します。
入る
ばい菌は、新しい宿主の目、鼻、口、耳、傷口などを介して新しい宿主に感染します。
新しい宿主
新しい宿主は病気になるかもしれませんし、ならないかもしれません。しかし、今ではばい菌を他の人に伝染させることができます。
ばい菌は人から人に伝染しやすいので、他の人々—家族、友人、仲間、そして社会—を守るために、伝染性の病気にかかっている人やその可能性がある人を誰であれ隔離することが重要です。 隔離とは、他の人にばい菌がうつらないように人を離しておくことを意味します。
もしあなたの家族の誰かが伝染性の病気にかかった場合(または症状から伝染性の疑いがある場合)、すぐに次のことをしてください:
- あなたの家族全員が自宅にとどまる。
- 仕事に出掛けたり、学校に行ったりしない。 在宅勤務や自宅学習をする。
- 助言を得るために、かかりつけの医師に連絡を取る。 診療所、医院、あるいは病院を訪れる前に、前もって電話をする。 病気が深刻でない限り、自宅にとどまり、他の人たちに感染するのを防ぐのが望ましいでしょう。
- 注意:その人に息切れや高熱などのひどい症状がある場合は、すぐに医師の診察を受けるようにしてください。
- 病気の人を他の家族から隔離しておく。 高齢者や病気にかかりやすい人を病気の人から遠ざけることを確実にする。
- 病気の人をペットや他の動物と接触させない。
- もし病人が自分の猫や犬をなでると、例えば、そのペットの毛にばい菌を残すかもしれません。後にその動物をなでた他の人に伝染することがあります。
- 完全に回復し、もはや伝染性がなくなるまで、病気の人が別室にとどまるようにする。
- いつであれば仕事に戻ったり、他の人と交流しても安全なのかを、かかりつけの医師に聞く。
- この小冊子に記載されているすべての衛生および消毒の助言を、徹底的に行うように注意を払う。
掃除と消毒
家族の誰かが伝染性の病気にかかっている場合は、頻繁に掃除や消毒をする必要があります。
掃除とは、表面に付着した汚れや不純物を除去することです。 掃除だけで、すべてのばい菌を取り除くことはありません。
消毒とは、表面にいる細菌を殺すために化学薬品を使用することです。 消毒をすることで表面がきれいになるとは限りませんが、掃除の後に表面のばい菌を殺すことで、感染が広がるリスクをさらに下げることができます。
消毒に使用する製品
家族の人が病気で隔離されている場合は、掃除して消毒する頻度を増やしてください。テーブル、ドアの取っ手、照明スイッチ、手でつかむところ、机、電話、トイレ、蛇口、洗面器、流し台など頻繁に触れる表面は特にです。
- 表面を消毒するために、過酸化水素などの標準的な殺菌剤を使ってください。 3パーセント(一般家庭向け)から7.9パーセントの濃縮したものを使ってください。
- 別の効果的な殺菌剤は、エタノールや消毒用アルコールです。 アルコールを少なくとも70パーセント含んだ製品を使ってください。 アルコール含有量が90パーセント以上の製品は、ウイルスを殺す前に揮発してしまうので、使ってはいけません。
- 冷たい水1クオートあたり1/12カップ(ティースプーン4杯分)の漂白剤を入れた溶液(1リットルの冷水につき20mlの漂白剤を入れたもの)を使用することもできます。 漂白剤の溶液を準備する際は、容器に書かれた漂白剤の使用期限が切れていないことを必ず確認してください。
- 注意:他のどんな洗浄液も水以外の液体も、決して漂白剤に混ぜてはいけません。
- 殺菌剤の使用方法については、表面に放置する時間を含め、必ず製造元の指示を読み、それに従ってください。
隔離された人の部屋
年齢や衰弱などの理由から、どうしてもその病気の人と接触しなければならないのであれば:
- 病気の人の部屋に入る前に、フェイス・マスクと使い捨て手袋を必ず付ける。
- あなたが部屋に入る前に、病気の人もフェイス・マスクを付けることを確実にする。
- 部屋を出るときに、あなたのマスクと手袋を外して、袋の付いたごみ箱に捨てる。
- 手をよく洗う。
浴室とトイレ
隔離されている病気の人は、家族の他の人とは違う浴室とトイレを使うべきです。
別の浴室とトイレがない場合:
- この小冊子に記載されている掃除と消毒の指針に従って、使用後は毎回、浴室とトイレを十分に消毒する。
- 浴室とトイレの掃除や消毒の際には、使い捨て手袋(フェイス・マスクがある場合はフェイス・マスクも使うのが理想的)を使用する。
- 消毒が終わったら、手袋を外して捨てる。
- 手をよく洗う。
食器
隔離されている人は、使い捨ての食器を使用するべきです。
もし使い捨ての食器を使用できない場合は、最後のすすぎが150°F(65℃)以上で行われる食器洗い機で食器を洗浄し、消毒します。
もし食器洗い機がない場合は、以下の手順に従って、食器を十分に消毒してください:
- 使い捨て手袋(マスクがある場合はマスクも)を使用して、使用済みの食器を空の流し台に直接運ぶ。 手袋は付けたままにする。
- 皿、ガラス製品、フォーク、スプーンやはしなどを、十分に洗ってすすぐ。
- 手袋を外して捨てる。 手をよく洗う。 新しい手袋を付ける。
- きれいになった食器を、冷たい水1ガロンあたりティースプーン2杯分の漂白剤(冷たい水4リットルあたり10mlの漂白剤)を入れた溶液に、少なくとも2分間浸す。
- 水を切り、空気乾燥させる。
- 手袋を外して捨てる。
- 手をよく洗う。
ごみ
- 病気の人の部屋に、袋を付けたごみ箱を置くようにする。
- ごみ袋を取り除いたり、病気の人のごみを扱ったり処分したりするときには、使い捨て手袋(マスクがある場合はマスクも)を使用する。
- 完全に密閉されたごみ袋を、戸外のごみ置き場に置く。
- 手袋を外して捨てる。
- 手をよく洗う。
洗濯
伝染病の人の汚れた洗濯物を扱うときは、必ず使い捨て手袋(マスクがある場合はマスクも)を着用してください。
- 病気の人の洗濯物は、他の家族のものと分けておく。 使い捨ての袋を用意するか、病気の人の洗濯物と一緒に洗える、洗濯かごの中に付ける袋を用意する。
- 要注意:空気を通してばい菌を広げないようにするため、洗濯物を振ってはいけません!
- 洗濯機の説明書に従って、適切な、可能な限り最高の温度に設定して洗濯物を洗う。 温度が高いほど、ウイルスや細菌を殺す可能性が高くなります。
- 要注意:洗濯機に衣服やリネン類を入れすぎないでください。 水が汚れやばい菌をきちんと洗い流せるだけの十分な空間を空けておいてください。
- 病気の人の洗濯物を洗濯機に入れ終わったら、手袋を外して捨てる。
- 手をよく洗う。
- 洗濯のサイクルを開始する。 洗濯機の中に水が流れ込んだら、過酸化水素を½から1カップ(120から240ml)加えます。
- 要注意:漂白してしまうので、白以外のものに直接過酸化水素をかけないでください。
- 洗濯物を推奨される最高の温度設定で完全に乾かす。
- 製造元の指示に従って、洗濯機を消毒する。
- 病気の人の洗濯かごの中に袋を付ける前に、この小冊子に記載されている消毒の助言に従って、洗濯かごを掃除して殺菌する。
この小冊子の指針と予防措置に従うことで、あなたは病気の広がりの防止を促進することができるのです。
ウイルス:通常の顕微鏡では見ることができないほど小さい、感染する身体の病気の源。 それは通常の風邪やより深刻な病気を人体に感染させる。
エタノール:発酵させた穀物から作られるアルコールの一種。 ばい菌や細菌を殺すことを含む、多くの使用法のある、刺激性のある臭いを持つ無色の液体。
はしか:伝染性の高い病気で、通常は小児期に発症し、高熱が出たり、真っ赤な小さな斑点の発疹が身体に広がったりするなどの症状がある。
過酸化水素:無色透明の水のような化合物で、病気を引き起こす微生物を殺すのに使われる。また、何かの色を薄くしたり、抜いたりする漂白剤としても使われる。
隔離:病気が広がらないように、病気を持つ人を他の人から完全に引き離す行為またはその結果。
隔離する:病気が広がらないように、病気を持つ人を他の人から完全に引き離すこと。
感染症:ウイルスや細菌などによって引き起こされる疾患。
空中浮遊:空気中に運ばれたり、空気を通して移動したりすること。
細菌:非常に小さな有機体で、顕微鏡でしか見ることのできない1つの細胞からなる。 細菌は人間の身体の内側や表面も含め、ほとんどどこにでも存在する。 消化を助ける細菌のように有益なものもあれば、 虫歯や病気を引き起こすように悪影響をもたらすものもある。
殺菌剤:細菌や他の微生物を殺す液体の化学薬品。
宿主:別の有機体がその表面や体内に生息している有機体のこと。
消毒:何かを衛生的にし、清潔にし、病気を引き起こす微生物が存在しないようにする行為。
体液:唾液、尿、粘液、血液などの体内で生じる液体。
兆候:ある人が病気を持っていることを示す身体の変化。
伝染:ある人から別の人へとウイルス、病気、または疾患が感染すること。
伝染させる:ウイルス、病気、または疾患を人々にうつしたり、ある人から別の人に感染させたりすること。
尿路:尿の生成、貯蔵、排出を行う体内の臓器および部分からなるシステム。
飛沫:咳(せき)、くしゃみ、会話などの際に出るごく小さな滴の液体で、唾液や粘液の物質を含んでおり、ウイルスや細菌などの感染性の病原体を媒介する可能性がある。
漂白剤:有害な細菌やばい菌を殺すための洗浄に使用される強力な化学薬品。
無生物:生物の活動に関連した性質がないもの。生きていないもの。
予防措置:起こりうる病気、危害、または困難から人々を守るために行われる何かのこと。
溶液:液体に溶けた固体など、2つ以上の物質の混合物。
連鎖球菌性咽頭炎:連鎖球菌と呼ばれる細菌の一種によって引き起こされるのどの感染症。 それは、のどの痛み、発熱、脱力を引き起こす。
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